平面研磨と円筒研磨の違いとは?研磨加工の種類と用途を解説

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金属部品の製作において、切削加工で大まかな形状を作った後、さらに高精度・高品質な仕上げを実現するために研磨加工が行われます。研磨加工には主に「平面研磨」と「円筒研磨」があり、それぞれ異なる目的と特徴を持っています。本記事では、これらの研磨加工の違いと、それぞれの用途について詳しく解説します。

研磨加工とは

研磨加工の基本原理

研磨加工は、砥石(といし)と呼ばれる研削工具を高速回転させ、工作物の表面を少しずつ削り取ることで、高精度な寸法と滑らかな表面を実現する加工方法です。切削加工よりもはるかに細かい単位で材料を除去するため、μm(マイクロメートル)単位の精度が得られます。

研磨加工が必要な理由

製造業の自動化設備では、以下のような理由で研磨加工が不可欠です。

研磨加工の目的

  • 寸法精度の向上(±0.005mm以下の公差管理)
  • 表面粗さの改善(Ra0.2~0.8μm程度)
  • 平面度、平行度、直角度などの幾何公差の確保
  • 摺動面の仕上げによる摩擦抵抗の低減
  • 光学的な平滑面の実現

ロボットティーチング用の治具や精密な位置決め部品では、研磨加工による高精度な仕上げが性能を左右します。

平面研磨の特徴と用途

平面研磨とは

平面研磨は、文字通り平らな面を高精度に仕上げる研磨方法です。平面研削盤と呼ばれる機械を使用し、回転する円盤状の砥石で工作物の表面を研削します。

平面研磨の加工方法

工作物を磁気チャックや治具で固定し、砥石を回転させながら少しずつ表面を削り取ります。一回の切り込み量は0.01~0.05mm程度と非常に少なく、何度も往復させることで目標の寸法と表面品質に仕上げます。

平面研磨が必要な部品

以下のような部品には平面研磨が必須です。

  • 金型のパーティング面(合わせ面)
  • 測定用の定盤やゲージブロック
  • 精密機械の取り付けベース
  • ロボットの設置面
  • シール面や密着面を持つ部品
  • リニアガイドの取り付け面

愛知のロボット製造現場では、設備の高精度な位置決めが求められるため、取り付けベースの平面度が重要です。平面度0.01mm以下を実現するには、平面研磨が不可欠となります。

平面研磨で達成できる精度

寸法精度: ±0.005mm程度 平面度: 0.005~0.02mm 表面粗さ: Ra0.2~0.8μm 平行度: 0.01mm以下

円筒研磨の特徴と用途

円筒研磨とは

円筒研磨は、丸棒状(円筒形状)の工作物の外径を高精度に仕上げる研磨方法です。円筒研削盤を使用し、回転する工作物に砥石を当てて研削します。

円筒研磨の加工方法

工作物を両端で支持して回転させながら、砥石を軸方向に往復させて研削します。工作物と砥石の両方が回転するため、非常に滑らかな仕上げ面が得られます。

円筒研磨が必要な部品

以下のような円筒形状の部品に使用されます。

  • シャフトやスピンドル
  • ピンやローラー
  • ベアリングの内輪・外輪
  • 油圧シリンダーのロッド
  • リニアブッシュの軸
  • プーリーやギアのボス部

製造業の自動化設備では、回転機構や摺動機構に多数の円筒部品が使用されており、円筒研磨による高精度な仕上げが機器の性能と寿命を左右します。

円筒研磨で達成できる精度

寸法精度: ±0.003mm程度 真円度: 0.003~0.01mm 円筒度: 0.005~0.015mm 表面粗さ: Ra0.1~0.4μm

内径研磨について

内径研磨の特徴

平面研磨、円筒研磨に加えて、穴の内面を研磨する「内径研磨」も重要な加工方法です。細い砥石を回転させながら、穴の内側を研削します。

内径研磨が必要な部品

  • ベアリングハウジング
  • ブッシュ類
  • リニアベアリングのハウジング
  • 油圧機器の穴加工部
  • 精密な嵌め合い部分の内径

内径研磨により、軸との嵌め合い精度を高めることができ、がたつきのない滑らかな動作が実現できます。

平面研磨と円筒研磨の使い分け

形状による選択

最も基本的な使い分けは、加工する部分の形状です。

  • 平らな面: 平面研磨
  • 丸い外径: 円筒研磨
  • 穴の内側: 内径研磨

要求精度による選択

どちらの研磨も高精度が得られますが、要求される精度の種類により選択が変わります。

  • 平面度や平行度が重要: 平面研磨
  • 真円度や円筒度が重要: 円筒研磨
  • 同軸度が重要: センタレス研磨(円筒研磨の一種)

加工効率による選択

生産数量や納期によっても最適な方法が変わります。

  • 大きな平面を効率的に: 大型平面研削盤
  • 長尺の軸を効率的に: 円筒研削盤
  • 大量生産: センタレス研削盤

研磨加工を依頼する際の注意点

前加工の重要性

研磨加工は仕上げ工程であり、研磨代(削りしろ)を適切に残しておく必要があります。

適切な研磨代

  • 平面研磨: 片側0.1~0.3mm
  • 円筒研磨: 径で0.2~0.5mm

研磨代が多すぎると加工時間が長くなり、少なすぎると前工程の加工跡を完全に除去できません。

焼入れのタイミング

焼入れ処理が必要な部品では、工程順序が重要です。

一般的な工程順序:

  1. 切削加工(粗加工)
  2. 焼入れ処理
  3. 研磨加工(仕上げ)

焼入れ後は変形が発生するため、最終的な寸法は研磨加工で調整します。

図面への明記事項

研磨加工を依頼する際は、図面に以下を明記しましょう。

  • 研磨が必要な面の指定
  • 要求する寸法公差
  • 表面粗さの指定
  • 幾何公差(平面度、真円度など)

研磨加工業者の選び方

保有設備の確認

平面研磨、円筒研磨、内径研磨のいずれが必要かにより、適切な設備を持つ業者を選びます。

加工可能サイズの確認

研削盤にはサイズ制限があります。特に大型部品では、対応可能な設備を持つ業者を選ぶ必要があります。

測定設備の確認

研磨加工後の品質を保証するには、適切な測定設備が必要です。

  • 三次元測定機
  • 真円度測定機
  • 表面粗さ測定機
  • 平面度測定機

ワンストップ対応の確認

切削から研磨まで一貫して対応できる業者であれば、工程間の輸送時間が削減され、納期短縮とコスト削減が実現できます。愛知県の金属加工の特急納品ならイレイズグループのように、複数の加工工程をワンストップで対応できる業者を選ぶことで、効率的な部品調達が可能になります。

まとめ

平面研磨と円筒研磨は、それぞれ異なる形状に対応した高精度仕上げ加工です。製品の性能や品質を最終的に決定する重要な工程であり、適切な研磨方法の選択と、経験豊富な業者への依頼が成功の鍵となります。

部品の用途や要求精度に応じて、最適な研磨方法を選択し、信頼できる加工業者との連携により、高品質な製品づくりを実現しましょう。

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